ゴールデンウィークを迎え、皆さまはいかがお過ごしですか。日頃出来なかったことをされたり、行楽地に出かけられたり、と様々な過ごし方があると思います。お仕事によってはお休みとならず出勤している方もおられるでしょう。お寺では、団体でご参拝のお客様をお迎えしたり、こどもの日に「花まつり」を行ったりしています。
最近、「蓮」を育て始めました。娘が小学校の時、大事にし、自由研究までしていた蓮が絶えたのを残念に思っていたので、今回は自分の手で植え付けるところから始めました。まず、土を入れ、田んぼの粘土を入れ、水とよく混ぜ合わせる作業をしました。子どもの時のどろんこ遊びと同じです。土をこね回しているうちに、だんだん土が軟らかくなり、手になじんでくるのが分かりました。バケツ2杯分の土をこね合わせれば準備は完了し、後は蓮根を植え付けるだけです。思ったより簡単に出来ました。植えたのは、写真の真ん中の鉢です。少し芽が出てきましたが、今は周りの花ばかりが目立ちます。この夏には花が咲くことを楽しみに育てたいです。
蓮の花について、仏教では「泥中の蓮華(でいちゅうのれんげ)」として教えが示されています。蓮の花は、決して清らかな水槽では育ちません。決して美しい環境とはいえない泥の中に育ち、泥とともに生きています。この泥は、娑婆世界に譬えられ、私たちの「煩悩」に譬えられています。私たちは、自分の抱えている貪欲や怒りや愚痴という「煩悩」にまみれた娑婆世界に生きる存在です。その煩悩の中にあって、仏法に出遇うことにより、真実に出遇える存在です。ですから、「煩悩」はただの煩悩ではないのです。私を育てる「栄養」であり、仏法に出遇える「ご縁」なのです。
正信偈には「是人名分陀利華」という言葉があります。分陀利華は、白い蓮の華のことで最も高貴な華とされ、仏さまや真実のみ教えの象徴として、念仏の教えに目覚めて生きる「妙好人」に譬えられます。念仏者を「分陀利華」と呼ばれたのは、泥の中にこそ美しい花を咲かせる蓮華のように、煩悩とともに生きる中にこそ、南無阿弥陀仏のおはたらきをいただく生き方を讃えられたからです。