令和6年8月のご挨拶

人生の目的は何ですか。

 法語カレンダ-の21日の言葉は「道は近きにあり 迷える人はこれを遠きに求む」とあります。この言葉に出遇うといつも、あなたの「人生の目的」は何ですか?と問いかけられているように感じます。皆さんにとって「人生の目的」は何ですか。高校生や大学生であれば、自分の進路決定と結びつけて考えている人がいると思いますが、それは「人生の目的」ではないのです。また、家を建てるとか、夢を叶えるということは喜ぶべきことですが、それも「人生の目的」ではなく、ある意味では人生の出発点に立ったということでしょう。

 私達は自分の人生において何を求めているのでしょう。それは「幸せ」になることではないでしょうか。老若男女を問わず、すべての人が願っていることは「幸せ」になるということでしょう。しかし、私はどうすれば「幸せ」になれるのかを知らないのです。そのため、独りよがりになったり、人と比較して「幸せ」だと考えたりするのです。また、「幸せ」を便利な道具や快適な家を求めれば実現できると考えます。しかし、自分の外にいくら「幸せ」を求めても、本当の幸せは手に入らないのではないでしょうか。どんなに快適な家を手に入れても、それで「幸せ」が実現できるわけではありません。その家に住む家族一人ひとりが、生活の中で何を大切にするか、大切にしなければならないかが、分かっていなければ「幸せ」は実現しないのでしょう。逆に、幸せを実現するために新しく快適な家を建てても、家族が争い、けんかを繰り返しているのでは「幸せ」に背を向けた生活になるのでしょう。

 「幸せ」を求めている私達に対して、仏さまは、「道は近きにあり」と示されているのです。「幸せ」はあなた自身の中にあるでしょう。仏さまはあなたにはこの「幸せ」が見えないのですか、と尋ねてくださっています。「人生の目的」についても、目先の予定表を追いかけてはいますが、人生全体を通して、何を成し遂げるために生まれたのかが問われているのです。  「幸せ」とは自身に満足しているかどうかではないでしょうか。多くのご縁によってこの身が生かされているという事実に気が付いた時、「幸せ」を実感できるのではないでしょうか。毎日の生活を通じて「感謝」の心があるか、何を大切にすべきか。どんな自分になりたいのかが問われるとき、同時に「人生の目的」が明確になるのでしょう。