平成29年3月のご挨拶

法語日めくりカレンダ-の4日のペ-ジには「人生には無駄なことは何一つありません」という言葉が載っています。私はこの言葉を見たとき、本当だろうかと考えてしまうのです。その理由は、私の生活では沢山の無駄があるように感じるからです。例えば時間を大切に使っているかといえば、なんとなく一日が過ぎたという日があり、時間を無駄にしてしまったと感じることがあります。皆さんはどうでしょうか。

 「無駄」という言葉を辞書で調べますと、「役に立たないこと。効果・効力が無いこと」と示されています。またその後には実に多くの慣用句が載っています。例を挙げますと、「無駄骨を折る。無駄口をたたく。無駄足を踏む。無駄話をする。無駄飯を食う」などです。

 沢山の無駄に関する言葉がある理由は、それだけ人が生活をするためには、無駄との関係が深いということでしょう。しかし、よく考えてみると、どんな人も始めから無駄をつくろうと考えて行動する人はいないはずです。行動した結果が、無駄になったと感じるのです。若い頃に少し困難なことに出会うと、どうせやっても無駄だと決めつけて、物事から逃げていたこともありました。

 仏法に出遇うと、無駄なことは何一つ無いんだと教えられます。逆に、無駄を作り、無駄と決めつけている自分が映し出されるのです。行動する前から「無駄になるとか、無駄にならない」ということにこだわりますが、大切なことは無駄になってもいいから、一生懸命に取り組むことだと教えられるのです。

 無駄を省くことも大切ですが、無駄を楽しむこともまた大切ではないでしょうか。