平成29年11月のご挨拶

時の速さ

11月を迎え、だんだんと秋の深まりを感じる季節となりました。朝晩の冷え込みにより体調など崩しておられませんか。これから日に日に広葉樹が色づく頃となります。お天気のよい日には外出して、季節の移り変わりを感じるのもよいと思います。

 さて、皆さんは時の経つ速さを感じられることはないでしょうか。日常的には、面白い時楽しい時は早く時間が過ぎ、苦しい時嫌な時はゆっくり過ぎると感じることがあります。しかしそれとは別に、過ぎ去った一年の速さに驚かされるということがあります。

 蓮如上人はお亡くなりになる一年前の84才の時に御文(四帖目第4通)に「さて、秋も去り春も去って年月を送り、昨日も過ぎ、今日も過ぎてゆきます。いつの間に老いの年を重ねたのでしょうか、何とも気づかずに暮らしてきました。それでもその間は花鳥風月を愛でて楽しんだこともあったでしょうし、また、病の苦痛に一喜一憂したこともあったでしょう。ですが、学んできたことも、経験したことも、みな夢のように過ぎてしまいました。」と述べておられます。

 今年のカレンダ-も残すところ2枚となりました。この一年を振り返ってみると、忙しいといって目の前のことに追われいるだけではなかったかという思いが残ります。本当はどう生きたいのか。どう生きたら自分の人生に満足し、頷くことができるのでしょうか。カレンダ-の法語には「人生はやり直しが利かないんだ。利かないけれど、見直しのチャンスなんだ。」とあります。自己の欲を満たすことが人生の満足ということではないのでしょう。楽を求め、苦から逃げている私自身に、「本当にそれでよいのか。」と問い続けて下さる声に出遇うことこそ大切だと感じます。自分に与えられた人生を、一生懸命に生きる(生かされる)ときに、大切なことに出遇えるのでしょう。