今年の暑さは格別で、例年に比べ一段と暑く感じられます。皆さまにはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
さて、先日境内を掃除していました時、毎日見ている当たり前の風景の中に、ふと新しい発見をいたしました。即得寺の鐘楼の土台は石垣で積み上げられていますが、この石垣はよく見ると自然石が使われており、石の大きさも大小様々です。これらを見ていると様々なことが頭に浮かんできます。
その一つは熊本城の石垣が崩落したことです。どんなに堅牢で、絶対に壊れないと思っていても、「絶対」ということはこの世にはあり得ないのです。よく「絶対に儲かります」「絶対安全です」「絶対事故は起こりません」といいますが、本当にそうでしょうか。熊本城の石垣が私たちに教えてくれていることを大切にしたいものです。
もう一つは、この石垣は社会の様子だなぁと感じるのです。写真をご覧下さい。大きい石、小さい石、それぞれ形や大きさが異なりますが、みんなで肩寄せ合って、石垣を作っているのです。大きな顔をしてデーンと威張っている石も、側には自分を支えている石があるのです。
なんか人間社会のようで、じっと見ているとクスッと笑えてしまいます。そのうち、「私はこの石垣のどの石かなぁ」なんて考えてみると面白いものです。不思議なことに、一つも要らない石はありません。すべての石がそれぞれを支え合って成り立っているのです。
最近、「本当は人間としてどのように生活をしたいのか」を考えることがあります。時には、自分のことだけをするのが精一杯で、人のことなど考える余裕のないこともあります。しかし本当は「ともに生きたい」と願っているのでしょう。
それでは「ともに生きたい」という願いを実現するにはどんなことが大切でしょうか。
① 「分け合う」楽しいこと、おいしいものを分け合いたいものです。
② 「助け合う」一人でできないことも、助け合えば半分の力でできます。
③ 「支え合う」小さな子ども、高齢者の方の力も生かし、支え合いの生活をしたいです。
④ 「励まし合う」どんなことでも認め合い、励まし合えば力が湧いてきます。
⑤ 「声を掛け合う」おはよう、ありがとう、おかげさま、のあいさつができる。
これらの「合う」に出遇うと、損得を超えた大きな喜びに出遇えるのではないでしょうか。皆さんはどんな「合う」が大切だと感じられますか。