平成28年3月のご挨拶

3月1日には多くの高校で「卒業式」が挙行されました。全国的に荒れた天候となり、高島市でも雪となりました。卒業生や保護者の方々は大変寒い中での卒業式を迎えられたことでしょう。この3月は幼稚園、保育園から大学にいたるまで「卒業式」が行われます。皆さんは「卒業」といえば、どんな思い出がおありでしょうか。それぞれの世代に応じて卒業の思い出は異なると思いますが、私自身にとっては、何かほろ苦いような感覚が残っています。卒業後の期待感と不安とが入り交じりながら、なにか時間だけが過ぎ去り、十分な成長が出来ないままに「卒業」をすることへの後悔の念が常につきまとっていました。

 また、三年前までは教員という立場で多くの生徒を送り出してきた私ですが、全力で生徒の指導に当たってはいましたが、三年間という限られた時間の中で、もっと良い関わりができたのではないだろうか・・・と思いを巡らせることもあります。

 いつの時代でも卒業生は、多くの人から「おめでとう」と祝福されますが、祝福の意味は何なのでしょうか。目に涙を光らせる生徒もいますが、きっとこの日を迎えるまでの日々、様々な喜びや苦しみを越え、切磋琢磨し、一生懸命に物事に取り組んできた証なのではないでしょうか。「祝福」には、そうしたことへの共感と、激励と、願いが込められているのでしょう。そう考えると卒業は終点ではなく、応援し支えている人とともに新たな一歩を踏み出すスタートであるはずです。若者に思いを馳せつつ、春の到来を新たなスタートとして、歩みを進めたいものです。

 本堂の西側の庭の「こぶしの枝」には、いつの間にか、沢山のつぼみが膨らんでいました。寒い冬の時期に準備をし、四月には白い大きな花を咲かせようとしているのです。私たちはどんな花を咲かせようとしているのでしょうか。今、頂いている課題に向き合い、精一杯取り組めば自分だけの花を咲かせることが出来ると思います。

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